ボクシングの魅力は筋肉にも

ボクシングの魅力は、鮮やかなフットワークと繰り出される拳の応酬によるところが大きいもの。技のぶつかり合いは興奮を呼び、ダウンを取ってからカウントを数えるスリリングな時間も、実にドラマティックです。選手同士の激しい戦いは勿論ですが、セコンドから飛ぶ怒号も観客の声援も悲鳴も、どれもがボクシングの醍醐味と言えるものです。

しかしボクシングについては、単純にしてシンプルな魅力をもう少し冷静にみる必要があります。それは選手たち自身です。彼らをみていてまず思うことは、何よりも鍛え上げられた筋肉の美しさです。ハードなトレーニングの末に彼らがまとったボディは、実にしなやかでひきしまった筋肉です。そこには無駄なものがなく、必要なものだけを残したストイックさすら滲みだします。

美しい筋肉とは、ただゴテゴテと肉を盛ることではありません。如何に美しくあるかという、美意識と共にあるものです。ボクシングには、ソリッドであると同時に柔らかさの求められる肉体を作り上げるという意味で、その美意識に必然的に迫ることになるのです。結果として、流した汗が腕や胸を流れていくさまには、神々しさすら感じさせるものがあります。肉体そのものの輝きが、ボクシングをみる、そして自分でやってみる、実は最大の魅力かもしれません。